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著者:為替カバ 更新日:2020年11月23日
アメリカドル(米ドル)円の見通し(今後)

こんにちは、為替カバです。
米ドルは世界で最も取引量が多い、基軸通貨※です。
※基軸通貨:国際通貨の中で中心的な役割を持つ通貨
さらに2015年以降、米ドルの政策金利が上昇しており、今後も上昇が見込まれるため、FXスワップトレーダーにも注目されつつあります。
そこで、米ドル円の今後の見通しについて、以下の点を調べながら予想しました。
- 米ドル円の過去10年のチャートで値動きを考察
- 米ドル円の史上最安値と、その原因
- アメリカ国内のGDP(経済)成長率見通し
- アメリカ政策金利は為替に影響する?
- 2019年 米ドル円の今後の見通しは?
- 米ドル円の見通しに関係なく、高いスワップ益を受け取るには?
1.アメリカドル(米ドル)円の過去10年のチャートで値動きを考察
米ドル円を長期間保有する場合、気になるのが過去の値動きです。
そこで、過去10年間米ドル円がどう推移してきたのか、為替チャートで確認しました。
特に、為替レートが大きく動いた原因を調べることで、今後の見通しをある程度予測することができます。

上の図は、米ドル円の過去10年の為替チャートです。
特に大きな値動きが6回発生しています。
①2008年9月~2009年2月の米ドル円暴落相場
100年に1度と言われる、世界金融危機の影響で、比較的安全とされる円が買われ、多くの高金利通貨が暴落しました。(米ドルの政策金利は当時2.00%です)
この影響で米ドル円為替レートは、2008年9月~2009年2月にかけて、108.43円→89.69円と、20円近く下落しました。
②2010年5月~2010年11月の米ドル円下落相場
ギリシャの財政赤字を皮切りとした欧州不安の高まりで、安全資産とされやすい円に資金が流入しました。
そのため米ドル円の為替レートは、2010年5月~2010年11月にかけて94.02円→80.35円と、約15円下落しました。
③2012年10月~2013年6月の米ドル円上昇相場
・安倍氏の首相就任で市場の政策期待が高まり、リスクオンムードが強まった
・黒田日銀総裁が就任し、期待インフレ率を2%にまで高める新金融緩和策を打ち出した
・アメリカの量的金融緩和政策
という、ドル高(円安)要因が発生し、米ドル円の為替レートは2012年10月1日~2013年6月にかけて77.94円→100.54円と、20円以上上昇しました。
④2014年7月~2015年1月の米ドル円上昇相場
日銀が追加の金融緩和に動く一方、FRB(米連邦準備制度理事会)は緩和縮小に動いた影響で、米ドル円の為替レートは2014年7月~2015年1月にかけて、101.31円~119.71円まで20円近く上昇しました。
⑤2016年2月~2016年8月の下落相場
「中国経済の先行き不安」「イギリスのEU離脱」「原油安」から、市場はリスクオフ※となりました。
※リスクオフ:リスクを取らずに安全な資産に資金が向かいやすい相場状況
そのため米ドル円の為替レートは、2016年2月~2016年8月にかけて、121.21円→102.39円と20円近く下落しました。
⑥2016年11月~2017年2月の上昇相場
2016年11月、アメリカでトランプ氏が大統領に就任し、トランプ政策への期待感からアメリカ株高が進み、リスクオン※の状態になりました。
※リスクオン:リスクの高い投資で積極的にリターンを求めようとする動き
そのため米ドル円の為替レートは、2016年11月~2017年2月にかけて101.35円~117.33円まで15円以上上昇しました。
このように過去10年の米ドル円の為替チャートを振り返ると、世界経済の先行きに反応して動きやすいことがわかりました。(リスクオン→ドル高・リスクオフ→ドル安)
2.アメリカドル(米ドル)円の史上最安値と、その原因
下の表はリーマンショックがあった2008年以降の米ドル円最安値の推移です。
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
87.10円 | 84.76円 | 80.24円 | 75.54円 最安値 |
76.02円 | 86.54円 |
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
100.75円 | 115.85円 | 99.47円 | 107.31円 | 104.64円 | 104.45円 |
米ドル円の史上最安値は、2011年10月の1米ドル=75.54円です。
その原因は2点。
- 格付け会社S&Pが、米国債格付けを最上級のAAAからAA+に1段階引き下げ
(米国債が最上級の格付けを失うのは史上初) - ギリシャ発の金融危機で世界的な金融不安が発生
最安値からも、米ドル円の為替レートは世界経済の影響を大きく受けることがわかります。
3.アメリカ国内のGDP(経済)成長率見通し
さらに、GDP世界第1位のアメリカ国内の経済成長率も調べました。
2008年・2009年は世界金融危機でマイナス成長でしたが、それ以外はプラス成長です。
2008年 | 2009年 | 2010年 | 2011年 | 2012年 | 2013年 |
-0.29% | -2.78% | 2.53% | 1.60% | 2.22% | 1.68% |
2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 |
2.57% | 2.86% | 1.49% | 2.30% | 2.93% | 2.35%(予想※) |
※2019年の経済成長率はIMF(国際通貨基金)の予想。 IMFは国際金融や為替相場の安定化を目的として設立された国際連合の専門機関です。
次に、2020年のアメリカ経済成長率です。
1~3月 | 4~6月 | 7~9月 | 10~12月 |
-32.9% | +33.1% |
新型コロナウィルス感染拡大の影響で、1~3月は過去最大のマイナス成長ですが、4~6月は大きく戻しました。
2020年の通期経済成長は、マイナスになる可能性が高いです。
4.アメリカ政策金利は為替に影響する?
米ドル円は取引量が一番多い通貨で、為替相場は非常に多くの要因から動きます。
当然、政策金利も要因の1つです。
下の図は米ドル円の為替レートと政策金利の相関図です。
2008年~2009年にかけて政策金利が下がった際は、米ドル円も下落しています。
一方、2015年~2018年の政策金利上昇時も、米ドル円は下落しています。
これらのことから、長期で見ると政策金利と為替レートの間に、相関関係はありません。
詳しくはこちらです
→アメリカ政策金利の推移と見通し 為替レート(米ドル円)への影響
5.2020年アメリカドル(米ドル)円の今後の見通しは?
米ドル円の今後の見通しを予想する前に過去の為替相場を振り返ってみましょう。
過去1年の米ドル円為替相場は円高傾向
直近1年の米ドル円為替相場は、新型コロナウイルスの影響で市場がリスクオフになり、円が買われやすくなり、円高の傾向にあります。
※リスクオフ:投資先をリスクの高い金融商品から、リスクの低い金融商品に移す動き

テクニカル指標から見た米ドル円為替相場
下図の米ドル円ボリンジャーバンドは、終値が-1σを抜けました。
- 買い時:終値が-1σを下回ったとき
- 売り時:終値が+1σを上回ったとき
今は-1σを下回ているため買い時です。
※黄色の領域は+2σ以下+1σ以上、-1σ以下-2σ以上の領域

ボリンジャーバンドはDMMFXのプレミアムチャートを利用しました。
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米ドル円関連ニュース
最近米ドル円に影響を与えたニュースは以下の通りです。
日付 | ニュース | 米ドル円 為替相場 |
2月下旬 ~3月 |
新型コロナウイルスの感染者数拡大で市場が冷え込む | 米ドル安 (円高) |
3月15日 | 米連邦準備制度理事会(FRB)は1%の緊急追加利下げを決定。 政策金利を年0.25%とし、事実上のゼロ金利政策を導入。 新型コロナウイルス感染症による景気悪化を防ぐため。 |
変動なし |
6月25日 | アメリカの第1四半期GDP成長率が-5.0%まで下落 マイナス-5%は、2008年のリーマンショック以来の下げ幅 |
変動なし |
日付 | ニュース | 米ドル円 為替相場 |
2019年 1月3日 |
日本が祝日で休場なのに加え、朝方の商いが薄い時間帯に売りが膨らみ 短時間で104.87円まで暴落 |
米ドル安 (円高) |
8月23日 | 中国政府は米国による制裁関税「第4弾」への報復として、 米国からの輸入品約750億ドル相当に対し、 9月1日から5-10%の追加関税を課すと発表 |
米ドル安 (円高) |
日付 | ニュース | 米ドル円 為替相場 |
2018年 2月5日~ 2月8日 |
米国のNYダウ平均が暴落し、各国の株に連鎖する世界同時株安が発生 →2年以上好調だった株式市場に調整が入ったのが主な理由 |
米ドル安 (円高) |
3月1日 | トランプ大統領が「鉄鋼に25%・アルミニウムに10%の関税」と発言 →貿易戦争が予想されることから、投資家のリスク回避姿勢が強まる |
米ドル安 (円高) |
3月28日 | 5月の米朝首脳会談に続く、6月の日朝首脳会談の可能性を受けた 朝鮮半島の地政学リスク後退観測 |
米ドル高 (円安) |
4月23日 | 米10年国債利回りが約4年半ぶりに2.99%まで上場 | 米ドル高 (円安) |
5月23日 | 米中貿易戦争リスクが再燃し、米朝首脳会談への期待感が薄まった | 米ドル安 (円高) |
6月1日 | 非農業部門雇用者数が予想の19万人を上回る22.3万人 失業率は3.8%と約18年ぶりの低水準 →アメリカ経済の好調さから、市場はリスクオンの状態 |
米ドル高 (円安) |
10月11日 | 米中貿易摩擦の再燃から、世界的な株安となり投資家心理が悪化 | 米ドル安 (円高) |
米ドル円の今後の見通しまとめ
過去のニュースを参考に 、ドル高要因・ドル安要因を抜き出しました。
ドル安(円高)要因
- 米中貿易戦争のリスク
- 新型コロナウイルスによる景気後退リスク
- 米ドルの政策金利 利上げ打ち止め
ドル高(円安)要因
- 基本的に世界経済が好調
- 米ドルの政策金利上昇
- 朝鮮半島の地政学リスク後退
これらのことから、ドル高・ドル安どちらの要因も、それだけで一方的に動く強い要因はなく、為替レートは横ばいを維持するものと思われます。
よって今後1年の米ドル円為替レートは、101円~110円と予想します。
6.米ドル円の見通しに関係なく、高いスワップ益を受け取るには?
米ドル円を保有する場合、どうしても為替リスクがつきまといます。 そこで、為替レートに左右されることなく、スワップポイントのみを受け取る方法を検証しました。
→米ドル円でスワップポイントサヤ取り
高金利通貨の見通し(今後)
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- トルコリラの見通し
- 米ドルの見通し
- 豪ドルの見通し
- メキシコペソの為替見通し
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