南アフリカランド円の為替見通し(今後)

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南アフリカランド円の為替見通し(今後)

ランド円はこれから上がるのか下がるのか、
今後の見通し(動向)はどうなるのかといった将来の展望を調べるためには、
為替レートがどういう理由で動くのか、その変動要因を知っておく必要があります。

ランド円が動くと考えられる要因としては、以下のものが考えられます。

  1. 金価格
  2. GDP
  3. 政策金利
  4. 消費者物価指数
  5. 南アフリカの株価
  6. 日本の株価
  7. 世界の景気(VIX指数)

1.金価格

南アフリカは、世界一の金の埋蔵量を誇り、対外輸出に占める鉱山資源の割合も非常に高い資源大国です。
そのため、まず最初に金価格と為替レートとの相関を調べてみました。




2.GDP

経済指標の王様といわれる、GDPが挙げられます。
このGDPが高い国ほど、投資家にとって魅力的な国に見えます。
このGDPは、果たして為替相場と関連するのでしょうか?




3.政策金利

そして、政策金利です。この政策金利によって、受け取れるスワップが決まります。
高金利で有名な南アフリカランドですが、政策金利によって為替レートは左右されるのでしょうか?




4.消費者物価指数

消費者物価指数は通貨と密接に係わり合いがあるといわれていますが、
南アフリカの為替レートも消費者物価指数を深い関わりがあるのでしょうか?




5.南アフリカの株価

南アフリカの株価と為替相場の関連性も知りたいところです。




6.日本の株価

日本の株価についても比較してみると面白いでしょう。




7.世界の景気(VIX指数)

100年に一度といわれる世界金融危機が原因で、南アフリカランドが2008年10月に当時の過去最安値をつけたことからも、深いかかわりがあると見て間違いなさそうです。
そこで、世界景気を表すVIX指数とランド円の関連性を調べてみました。



これらランド円の動向要因を調べることで、南アフリカランド円の今後の見通しを予測することが出来るのか調べました。

検証の結果、ランド円の為替相場は、金価格やGDP、政策金利とは関連性が低く、
逆に世界の景気(VIX指数)とは関連性が高いことがわかりました。
そこで、VIX指数をチェックしつつ、ランドの見通しを予想してみます。


2018年9月時点 南アフリカランド円の見通し

下の図は、9月3日時点での直近3か月のランド円の為替チャートと、VIX指数の推移です。

ランド円2018年6月~8月 為替チャート

ランド円チャートのコメント
2018年6月~8月は、8.5円から8月13日に7.07円まで下げたあと、7.5円台まで上がりました。

VIX指数2018年6月~8月の推移

VIX指数チャートのコメント
2018年3月下旬、トランプ大統領の関税引き上げ議論が再燃したことで、先行き不透明感が高まり、VIX指数が24.87まで上昇しました。
5月29日、イタリア政治の先行き不透明感から、VIX指数が17.02まで上昇しました。
6月27日、米中貿易摩擦が激化するという予想から、VIX指数が17.91まで上昇しました。
ただし、世界経済が比較的安定している現在は、リスクオン(リスクをとって高い収益を狙う)の状態で、ランド高になりやすい状況です。(VIX指数は通常10~20の間で推移しています。最新のVIX指数はこちらです。)

また、2018年以降ランド円の為替相場に影響を与えた主なニュースは以下の通りです。

南アフリカランド関連ニュース
日付 ニュース 為替相場
2月2日 南アフリカ国会が、ズマ大統領への不信任案を提出 ランド高
2月5日 米国のNYダウ平均が暴落し、各国の株に連鎖する世界同時株安が発生
→高金利のランドを売って、信頼性の高い円を買う動きになりました
ランド安
2月12日 ズマ大統領が辞任を承諾したと報道後、辞任を否定との報道 乱高下
2月15日 ズマ大統領が辞任を表明 ランド高
2月21日 南アフリカ2018年1月の消費者物価指数(インフレ率)4.1%
→予想の4.5%を下回りました
ランド高
2月21日 ギガバ財務相が、25年ぶりに付加価値税を引き上げする方針を発表
→財政赤字削減への期待感が強まりました
ランド高
2月22日 ギガバ財務相が南アフリカ格付け下落に対する警戒感を示しました ランド安
2月26日 ラマポーザ新政権の内閣改造
→新政権への期待感が強まりました
ランド高
3月6日 南アフリカの10-12月GDPが前年比+3.1%
→予想の+1.8%を上回りました
ランド高
3月19日 格付け会社ムーディーズが南アフリカの格付けを下げる可能性が浮上 ランド安
3月23日 米格付け会社ムーディーズは、南アフリカの格付け「Baa3」を
維持し、見通しを「ネガティブ→安定的」に引き上げ
ランド高
3月28日 南アフリカ準備銀行が政策金利を6.75%→6.50%に引き下げ ランド安
4月18日 南アフリカ2018年3月の消費者物価指数(インフレ率)3.8%
→予想の4.1%を下回りました
ランド高
4月23日 アメリカ10年債利回りが2.995%まで上昇
→世界のお金が米ドルに流入しました
ランド安
5月10日 米朝の対立緩和ニュースで、東アジアの地政学リスク後退
→リスクオンとなり南アフリカランドが買われました
ランド高
5月29日 イタリア政治の先行き不透明感でイタリア株が3%超の大暴落
→リスク回避で南アフリカランドが売られました
ランド安
6月5日 南アフリカの2018年1-3月GDPが前年比-2.2%
→予想の-0.5%を下回りました
ランド安
8月13日 トランプ米大統領が
「トルコから輸入する鉄鋼・アルミ関税を2倍にすることを認めた」
とツイートしたことを受けてトルコリラ売りが加速
→南アフリカランドも新興国通貨として売られました
ランド安

今後の南アフリカ経済
2017年12月19日の南アフリカ民族会議(ANC)で、ラマポーザ氏が党首に決まりました。
ラマポーザ氏は現在65歳で、卓越した交渉能力と戦略で故ネルソン・マンデラ氏とともにアパルトヘイト撤廃交渉を成功に導きました。

実業家としても成功しているラマポーザ氏に、南アフリカ経済成長の押し上げが期待されています。

その証拠に、2017年12月27日にはラマポーザ新党首への期待感から、2017年最高値の1ランド=9.24円を記録しました。

なお、ズマ大統領の任期は2019年の総選挙までで、当面はラマポーザ新党首との双頭体制ですが、国民に不人気のズマ氏は2018年2月15日、とうとう退陣に追い込まれました。

一方、2018年1-3月GDPは-2.2%と、2009年以来の大きな落ち込みとなりました。
原因は、金やプラチナの生産量が伸びず、工業分野の輸出が9.9%減少したことにあります。
金はストライキへの懸念、プラチナは需要減が、生産量が減った主な理由です。

次に、今後の南アフリカランドの見通しについて、世界の景気に影響を与える要因をメインに、考察しました。

南アフリカランドの今後の見通しに影響を与える要因
  1. 原油価格
  2. 中国経済
  3. アメリカの利上げ
  4. アメリカ大統領トランプ氏の動向

1.原油価格
1年半前の2016年1月は、1バレル=30ドルを割り込むなど大幅に下落しましが、 2018年9月3日時点の原油価格は、1バレル=69.85ドルです。

原油安が起きた2016年初めは、産油国の経済が悪化し、世界経済の見通しも悪化しましたが、

・新興国の需要が増えた
・2016年11月30日、OPEC(石油輸出国機構の加盟国)がオーストリアで総会を開き、原油の減産に踏み切る
(OPECが原油の減産に踏み切るのは、リーマンショックで原油の需要が減少した2008年以来8年ぶりのことです。)
・2017年5月25日、OPECが2018年3月までの減産延長で合意
・2017年11月30日、OPECとロシアなど非加盟の産油国は、2018年3月までとなっている減産を2018年末まで延長することで合意

といったことを背景に、2018年9月時点で、原油価格の高値水準が継続しています。
原油価格の適度な高値水準は、世界経済の安定を導き、ランド高の要因になります。

2.中国経済
中国経済も、世界経済に大きな影響を与えます。また、中国は南アフリカにとって最大の貿易相手国で、中国経済の回復はランド高の要因となります。

南アフリカ共和国の貿易相手国ベスト3(出典:JETRO)
第1位 第2位 第3位
南アフリカ共和国の輸出相手国 中国 アメリカ 日本
南アフリカ共和国の輸入相手国 中国 ドイツ サウジアラビア

中国経済の動向を知るのに最適な指標は、GDP成長率と製造業購買担当者景況感(PMI)です。

※製造業購買担当者景況感:PMIとも呼ばれ、製造業やサービス業の購買担当者を対象にアンケートや聞き取りなどを行い、新規受注や生産高、受注残、価格、雇用、購買数量などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退のサイン。景気実態を正確に映し出しやすい。

2018年4月~6月の国内総生産(GDP)成長率は+6.7%で、この数字は、中国政府の2018年目標値である6.5%前後を上回っています。

中国のGDP成長率推移
2018年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.8% +6.7%
2017年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.9% +6.9% +6.8% +6.8%

また、製造業購買担当者景況感は、2015年8月~2016年2月まで7か月連続で50を下回りましたが、2016年8月~2018年8月は逆に25か月連続で50を上回り、回復傾向にあります。

直近1年の中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
2017年
9月
10月 11月 12月 2018年
1月
2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
52.4 51.6 51.8 51.6 51.3 50.3 51.5 51.4 51.9 51.5 51.2 51.3

2018年8月の中国製造業購買担当者景況感(PMI)は51.3と、依然として高水準です。
この数値を見る限り、中国の景気は回復の兆しが見えています。

3.アメリカの利上げ
2018年6月12・13日のFOMCで、アメリカドルの利上げが発表されました。
これでアメリカの政策金利は1.75%→2.00%になりました。

※FOMC:Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、アメリカの金融政策を決定する会合です。

アメリカが利上げされると、資金がアメリカドルに流入しやすくなるため、高金利通貨にとっては通貨安の要因です。

普通は資金がアメリカドルに流入して、ランド円が円高になるところですが、今回の発表は市場ではすでに織り込み済みで、利上げ発表前後でのランド円の為替相場は、8.26円→8.29円とほとんど変わりませんでした。

アメリカの利上げ時期は、雇用統計、特に非農業部門雇用者数と失業率の数値が考慮されます。
・雇用者数が予想よりも多く、失業率が予想よりも低い→好景気(利上げ可能性が高い)
・雇用者数が予想よりも低く、失業率が予想よりも高い→不景気(利上げ可能性が低い)
と判断されます。

直近1年の米雇用統計 非農業部門雇用者数(前月比変化)の推移(単位:万人)
2017年
9月
10月 11月 12月 2018年
1月
2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
予想 8 31.2 19.5 19 18 20.5 18.5 19.2 19 19.5 19 19.1
結果 -3.3 26.1 22.8 14.8 20 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3 15.7 9月7日
発表

直近1年の米雇用統計 失業率の推移(単位:%)
2017年
9月
10月 11月 12月 2018年
1月
2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月
予想 4.4 4.2 4.1 4.1 4.1 4.0 4.0 4.0 3.9 3.8 3.9 3.8
結果 4.2 4.1 4.1 4.1 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8 4.0 3.9 9月7日
発表

過去のアメリカ雇用統計を見る限り、アメリカ経済は堅調に推移しています。
次回のFOMCは、2018年9月25・26日ですが、市場では次回FOMCでの利上げされる可能性が高いと判断しています。

なお、5月23日のFRB高官の発言から、
「米ドルの利上げは2019年に終了し、3%前後で終わる」
可能性が出てきました。

その場合、南アフリカランドと米ドルの金利差は大きいままですので、南アフリカランドへの投資はまだ魅力的です。

なお、アメリカの利上げは、景気の悪化を意味しないため、VIX指数とは関連しません。
VIX指数があまり変動していないにもかかわらず、ランド円が大きく下落した場合、アメリカの利上げ可能性が早まり、お金がドルに流入していることを疑った方がいいでしょう。

4.アメリカ大統領トランプ氏の動向
2016年11月にトランプ大統領が誕生しました。

GDP第1位のアメリカ大統領の動向は、世界経済に大きな影響を及ぼします。
そのため、世界経済の影響を受けるランド円の為替レートも、トランプ大統領の動向で変動することがあります。

トランプ大統領の動向とランド円への影響
時期 トランプ大統領の動向 ランド円の為替レート
2016年11月~
2017年3月
減税策やインフラ投資などトランプ
大統領への期待感(通称トランプ相場)
7.64円→8.85円の円安
2017年3月27日~
2017年3月31日
医療保険制度改革法(オバマケア)
代替案の採決見送りによる、
トランプ政策への不透明感
8.90円→8.30円の円高
2017年5月17日~
2017年5月18日
トランプ政権とロシアの不適切な関係
(ロシアゲート事件)の報道
8.64円→8.29円の円高

このようにトランプ大統領の動向は、ランド円の相場に大きな影響を与えていますが、最近はトランプ大統領のニュースで、円高に動くことが多くなっています。

結論
上に挙げた4つの要因のうち、現時点では
ランド円の円高要因:3.アメリカの利上げ 4.アメリカ大統領トランプ氏の動向
ランド円の円安要因:1.原油価格 2.中国経済
となっています。

これらのことから、今後3か月間のランド円の予想レンジは、7.2円~8.5円とします。

次回更新予定日 : 2018年10月1日

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