南アフリカランド円の為替見通し(今後)

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著者:為替カバ 更新日:2022年12月1日

南アフリカランド円の為替見通し(今後)

ランド円はこれから上がるのか下がるのか、
今後の見通し(動向)はどうなるのかといった将来の展望を調べるためには、
為替レートがどういう理由で動くのか、その変動要因を知っておく必要があります。

ランド円が動くと考えられる要因としては、以下のものが考えられます。

  1. 金価格
  2. GDP
  3. 政策金利
  4. 消費者物価指数
  5. 南アフリカの株価
  6. 日本の株価
  7. 世界の景気(VIX指数)

1.金価格

南アフリカは、世界一の金の埋蔵量を誇り、対外輸出に占める鉱山資源の割合も非常に高い資源大国です。
そのため、まず最初に金価格と為替レートとの相関を調べました。


金価格とランド円為替レートの相関


2.GDP

経済指標の王様といわれる、GDPが挙げられます。
このGDPが高い国ほど、投資家にとって魅力的な国に見えます。
このGDPは、果たして為替相場と関連するのでしょうか?


GDPとランド円為替の相関


3.政策金利

政策金利によって、受け取るスワップポイントが決まります。
高金利で有名な南アフリカランドですが、政策金利によって為替レートは左右されるのでしょうか?


政策金利とランド円為替の相関


4.消費者物価指数

消費者物価指数は通貨と密接に係わり合いがあるといわれていますが、南アフリカの為替レートも消費者物価指数を深い関わりがあるのでしょうか?


消費者物価指数とランド円為替の相関


5.南アフリカの株価

南アフリカの株価と為替相場の関連性も知りたいところです。


南アフリカの株価とランド円為替の相関


6.日本の株価

ランド円は「南アフリカランド」と「日本円」に関する為替です。
日本の株価についても関連性を調べました。


日本の株価とランド円為替の相関


7.世界の景気(VIX指数)

100年に一度といわれる世界金融危機が原因で、南アフリカランドが2008年10月に当時の過去最安値をつけたことからも、深いかかわりがあると見て間違いなさそうです。
そこで、世界景気を表すVIX指数とランド円の関連性を調べました。


世界の景気とランド円為替の相関


これらランド円の動向要因を調べることで、南アフリカランド円の今後の見通しを予測することが出来るのか調べました。

検証の結果、ランド円の為替相場は、金価格やGDP、政策金利とは関連性が低く、
逆に世界の景気(VIX指数)とは関連性が高いことがわかりました。
そこで、VIX指数をチェックしつつ、ランドの見通しを予想してみます。


2022年12月時点 南アフリカランド円の見通し

まず、直近3か月のランド円の為替チャートとVIX指数の推移を解説します。

南アフリカランド円の為替チャート

南アフリカランド円2022年9月~11月 為替チャート

南アフリカランド円チャートのコメント

2021年1月~ 新型コロナウイルスのワクチンへの期待感から、ランド円上昇
2021年11月下旬~ 南アフリカでオミクロン株が発見され、ランド円下落
2022年3月~ 政策金利上昇への期待感から、ランド円上昇
2022年12月1日時点は1ランド=8.0円台で推移


VIX指数の推移

VIX指数2022年9月~11月の推移

VIX指数チャートのコメント

2020年1月下旬 中国・武漢からの新型ウイルス感染拡大の影響で、20近くまで上昇
2020年2月下旬 新型コロナウイルス感染拡大の動きは静まらず、VIX指数30超に暴騰
2020年3月16日 リーマンショック時の89に匹敵する、82.69を記録
2020年4月 一気に下がるものの30台での推移で、平常時の20以下にはまだ戻らず
2020年5月 徐々に低下し、30を切るものの平常時の20以下にはまだ戻らず
2020年6月中旬 コロナウイルスの感染拡大の影響で、再び30台に
2020年9月下旬 特に欧米でのコロナウイルスの感染拡大の影響で、再び30台に
2020年11月 新型コロナウイルスのワクチンへの期待感から、20近くまで下落
2021年1月下旬 株価の急落でVIX指数が37まで上昇
2021年11月下旬 オミクロン株の発見でVIX指数が31まで上昇
2022年2月下旬 ロシアのウクライナ侵攻でVIX指数が33まで上昇

2022年12月1日時点でVIX指数は20.58
(通常、VIX指数は10~20の間で推移しています。最新のVIX指数はこちらです。)

また、最近ランド円の為替相場に影響を与えた主なニュースは以下の通りです。

南アフリカランド円関連の主なニュース

2018年のニュース
日付 内容 為替相場
2月2日 南アフリカ国会が、ズマ大統領への不信任案を提出 ランド高
2月5日 米国のNYダウ平均が暴落し、各国の株に連鎖する世界同時株安が発生
→高金利のランドを売って、信頼性の高い円を買う動きになりました
ランド安
2月15日 ズマ大統領が辞任を表明 ランド高
2月21日 南アフリカ2018年1月の消費者物価指数(インフレ率)4.1%
→予想の4.5%を下回りました
ランド高
2月21日 ギガバ財務相が、25年ぶりに付加価値税を引き上げする方針を発表
→財政赤字削減への期待感が強まりました
ランド高
2月26日 ラマポーザ新政権の内閣改造
→新政権への期待感が強まりました
ランド高
3月6日 南アフリカの2017年10-12月GDP成長率が前年比+3.4%
→予想の+1.8%を上回りました
ランド高
3月19日 格付け会社ムーディーズが南アフリカの格付けを下げる可能性が浮上 ランド安
3月23日 米格付け会社ムーディーズは、南アフリカの格付け「Baa3」を
維持し、見通しを「ネガティブ→安定的」に引き上げ
ランド高
3月28日 南アフリカ準備銀行が政策金利を6.75%→6.50%に引き下げ ランド安
4月18日 南アフリカ2018年3月の消費者物価指数(インフレ率)3.8%
→予想の4.1%を下回りました
ランド高
4月23日 アメリカ10年債利回りが2.995%まで上昇
→世界のお金が米ドルに流入しました
ランド安
6月5日 南アフリカ政府は1-3月GDP成長率が前期比で年率-2.7%と発表
→予想の-0.5%を下回りました
ランド安
8月13日 トランプ米大統領が
「トルコから輸入する鉄鋼・アルミ関税を2倍にすることを認めた」
とツイートしたことを受けてトルコリラ売りが加速
→南アフリカランドも新興国通貨として売られました
ランド安
11月22日 南アフリカ準備銀行が政策金利を6.50%→6.75%に引き上げ ランド高
2019年のニュース
日付 内容 為替相場
1月3日 東京市場が休みで薄商いということもあり、一気に7.16円まで下落 ランド安
2月20日 2019-2020年の財政赤字の対GDP比予想を4.2%→4.5%に下方修正 ランド安
3月29日 米中貿易摩擦が進展 ランド高
6月上旬 FRBによる米ドル利下げ観測 ランド高
7月18日 南アフリカ準備銀行が政策金利を6.75%→6.50%に引き下げ 変化なし
7月26日 格付け会社フィッチ・レーティングスは、南アフリカの格付け見通しを
「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ
変化なし
9月3日 南アフリカ政府は4-6月GDP成長率が前期比で年率+3.1%と発表 変化なし
10月30日 南アフリカ財務省は2019年GDP成長率が0.5%の見通しを発表 ランド安
2020年のニュース
日付 内容 為替相場
1月下旬 中国・武漢で発生した新型ウイルスの影響で、7.2円台まで下落 ランド安
2月 米格付け会社ムーディーズは南アフリカの格付けを
「Baa3」から「Ba1」に1段階引き下げ
ランド安
3月27日 新型コロナウイルス感染拡大の動きは静まらず、ランド円も暴落中。 ランド安
4月6日 新型コロナウイルスの感染拡大&原油安&格下げのトリプルパンチで、
1ランド=5.58円と史上最安値を更新
ランド安
6月上旬 コロナリスクが若干後退し、1ランド=6.5円台まで上昇 ランド安

今後の南アフリカ経済

2017年12月19日の南アフリカ民族会議(ANC)で、ラマポーザ氏が党首に決まりました。
ラマポーザ氏は現在65歳で、卓越した交渉能力と戦略で故ネルソン・マンデラ氏とともにアパルトヘイト撤廃交渉を成功に導きました。

実業家としても成功しているラマポーザ氏に、南アフリカ経済成長の押し上げが期待されています。

その証拠に、2017年12月27日にはラマポーザ新党首への期待感から、2017年最高値の1ランド=9.24円を記録しました。

なお、ズマ大統領の任期は2019年の総選挙までで、当面はラマポーザ新党首との双頭体制ですが、国民に不人気のズマ氏は2018年2月15日、とうとう退陣に追い込まれました。

一方、2018年の南アフリカのGDP成長率は、新興国の中では低水準のままです。

2018年 南アフリカのGDP成長率
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
-2.7% -0.5% 2.6% 1.4%

新体制に代わり、徐々に改革が進められてきた2019年が勝負の年です。

2019年1-3月 GDP成長率が-3.2%とよくありませんでした。
原因は国営電力会社エスコムによる計画停電が、製造業の生産を直撃したため。
2019年4-6月 この反動でGDP成長率は+3.1%でした。
2019年7-9月 GDP成長率-0.6%と、またマイナス圏に突入。
南アフリカ中央銀行は、2019年通期のGDP成長率を0.6%と予想しています。

2019年 南アフリカのGDP成長率
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
-3.2% +3.1% -0.6% -1.4%

2020年は、残念ながらコロナに翻弄されています。
2020年通期の経済成長率は、南アフリカを含めほとんどの国でマイナスです。

2020年 南アフリカのGDP成長率
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
-2.0% -51% +66.1% +6.3%

2021年は、コロナの最悪期を脱した感じで、プラス成長です。

2021年 南アフリカのGDP成長率
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
+4.6% +1.2% -1.5% +1.2%

2022年は、まだ発表されていません。

2022年 南アフリカのGDP成長率
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
+1.9% -0.7% 12月7日発表

次に、今後の南アフリカランドの見通しについて、世界の景気に影響を与える要因をメインに、考察しました。

南アフリカランドの今後の見通しに影響を与える要因

  1. 原油価格
  2. 中国経済
  3. アメリカの政策金利動向
  4. アメリカ バイデン大統領の動向
  5. 南アフリカの格付け

1.原油価格
原油価格は、世界経済やランド円に大きな影響を与えます。

では、原油価格の状況を時系列で解説します。

・2016年:原油価格は大幅な安値水準(1バレル=30ドル~40ドル
原油安で、産油国の経済が悪化し、世界経済の見通しも悪化

・2017年~2018年:原油価格は安値~適正水準(1バレル=50ドル~70ドル
「2017年5月25日、OPECが2018年3月までの減産延長で合意」
「2017年11月30日、OPECとロシアなど非加盟の産油国は、2018年3月までとなっている減産を2018年末まで延長することで合意」
などで原油価格が上昇

・2019年:原油価格は適正水準(1バレル=50~60ドル
「1月から6か月、OPECとロシアなど非加盟の産油国は、合計で日量120万バレル減産することで合意」
といったことを背景に、原油価格の適正水準が継続

・2020年:原油価格は安値水準(1バレル=30~50ドル
新型コロナウィルス感染拡大で原油の需要が減ったことから、原油が暴落

・2021年:原油価格は適正水準(1バレル=50~80ドル
コロナからの経済回復基調にあるものの、産油国が減産を維持しているため、原油価格は高騰したものの、オミクロン株の発見により下落。

・2022年:原油価格は高値水準(1バレル=80~110ドル
「コロナからの脱却で経済が回復して原油需要が増える」
「ロシアのウクライナ侵攻で原油の供給が不安定になる」
との見方から原油価格が高騰
2022年12月1日時点で、1バレル80ドル台

2.中国経済
中国経済も、世界経済に大きな影響を与えます。また、中国は南アフリカにとって最大の貿易相手国で、中国経済の回復はランド高の要因となります。

南アフリカ共和国の貿易相手国ベスト3(出典:JETRO)
第1位 第2位 第3位
南アフリカ共和国の輸出相手国 中国 アメリカ 日本
南アフリカ共和国の輸入相手国 中国 ドイツ サウジアラビア

中国経済の動向を知るのに最適な指標は、GDP成長率と製造業購買担当者景況感(PMI)です。

※製造業購買担当者景況感:PMIとも呼ばれ、製造業やサービス業の購買担当者を対象にアンケートや聞き取りなどを行い、新規受注や生産高、受注残、価格、雇用、購買数量などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退のサイン。景気実態を正確に映し出しやすい。

中国のGDP成長率
2020年1月~3月の国内総生産(GDP)成長率は-9.8%で、統計を取りはじめてから初のマイナス成長です。
また、2020年の経済成長率は、先行きが見通せないことから、中国政府は目標設定をしませんでした。
2021年はプラスでしたが、2022年は4~6月でマイナスです。

中国のGDP成長率推移
2017年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.9% +6.9% +6.8% +6.8%
2018年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.8% +6.7% +6.5% +6.4%
2019年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.4% +6.2% +6.0% +6.0%
2020年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 -9.8% +11.5% +2.7% +2.6%
2021年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +0.6% +1.3% +0.7% +1.6%
2022年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +1.3% -2.6% +3.9%

中国の製造業購買担当者景況感
2016年8月~2018年11月:27か月連続で50を上回る
2018年12月~2019年2月:50を下回る
2019年3月・4月:米中貿易摩擦の影響が、中国経済にも目に見える形で出てきましたが
・中国政府の景気対策が効き始めた
・春節(旧正月)休暇による特殊要因
ことから、50を上回りました。
2019年5月~10月:6か月連続で50を下回る
2019年11月~:ようやく50を上回りました。
2020年2月:新型コロナウイルスの影響で、35.7という過去最低値を記録
2020年3月:50を大きく上回ったものの、PMIは生産が前月比で増えたかを確認する指標で、海外の需要は悪化
2020年3月~2020年12月:10か月連続で50を上回り、景気の回復が見え始めた

2018年 中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
1月 2月 3月 4月 5月 6月
51.3 50.3 51.5 51.4 51.9 51.5
7月 8月 9月 10月 11月 12月
51.2 51.3 50.8 50.2 50.0 49.4
2019年 中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
1月 2月 3月 4月 5月 6月
49.5 49.2 50.5 50.1 49.4 49.4
7月 8月 9月 10月 11月 12月
49.7 49.5 49.8 49.3 50.2 50.2
2020年 中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
1月 2月 3月 4月 5月 6月
50.0 35.7 52.0 50.8 50.6 50.9
7月 8月 9月 10月 11月 12月
 51.1 51.0 51.5 51.4 52.1 51.9
2021年 中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
1月 2月 3月 4月 5月 6月
51.3 50.6 51.9 51.1 51.0 50.9
7月 8月 9月 10月 11月 12月
 50.4 50.1 49.6 49.2 50.1 50.3
2022年 中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
1月 2月 3月 4月 5月 6月
50.1 50.2 49.5 47.4 49.6 50.2
7月 8月 9月 10月 11月 12月
49.0 49.4 50.1 49.2 48.0

3.アメリカの政策金利動向
アメリカが利上げされると、資金がアメリカドルに流入しやすくなるため、高金利が売りの南アフリカランドにとっては、通貨安の要因です。

2022年11月のFOMCで、アメリカドルの利上げが発表されました。
これでアメリカの政策金利は4.00%になりました。
※FOMC:Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、アメリカの金融政策を決定する会合です。

アメリカの政策金利上昇に合わせて、南アフリカの政策金利も上昇する可能性が出てきたことから、ランド円も上昇してきています。

現在、南アフリカランドと米ドルの金利差は大きいままですので、その点ではランド円は堅調に推移しそうです。

なお、アメリカの利上げは、景気の悪化を意味しないため、VIX指数とは関連しません。
VIX指数があまり変動していないにもかかわらず、ランド円が大きく下落した場合、アメリカの利上げ可能性が早まり、お金がドルに流入していることを疑った方がいいでしょう。

4.アメリカ バイデン大統領の動向
2020年11月にバイデン大統領が誕生しました。

GDP第1位のアメリカ大統領の動向は、世界経済に大きな影響を及ぼします。
そのため、世界経済の影響を受けるランド円の為替レートも、バイデン大統領の動向で変動することがあります。


5.南アフリカの格付け
大手格付け会社が、南アフリカ国債の安全性についてどう評価しているかも参考になります。
現在の評価は

大手格付け会社が2社とも不適格級と判断しています。
詳しく確認→南アフリカの国債格付け推移


南アフリカランド円の為替見通し 結論

上に挙げた影響要因は、以下の状況です。
1.原油価格:現時点で高値水準→南アランド下落要因
2.中国経済:景気回復中→南アランド上昇要因
3.アメリカの政策金利動向:米ドル利上げ→南アランド利上げ→南アランド上昇要因
4.アメリカ バイデン大統領の動向:現時点で南アランドへの影響小
5.現在、投資不適格級と判断→南アランド下落要因

これらのことから、今後1年間のランド円の予想レンジは、7.6円~8.6円とします。

次回更新予定日 : 2023年1月1日

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