南アフリカランド円の為替見通し(今後)

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更新日:2019年9月3日

南アフリカランド円の為替見通し(今後)

ランド円はこれから上がるのか下がるのか、
今後の見通し(動向)はどうなるのかといった将来の展望を調べるためには、
為替レートがどういう理由で動くのか、その変動要因を知っておく必要があります。

ランド円が動くと考えられる要因としては、以下のものが考えられます。

  1. 金価格
  2. GDP
  3. 政策金利
  4. 消費者物価指数
  5. 南アフリカの株価
  6. 日本の株価
  7. 世界の景気(VIX指数)

1.金価格

南アフリカは、世界一の金の埋蔵量を誇り、対外輸出に占める鉱山資源の割合も非常に高い資源大国です。
そのため、まず最初に金価格と為替レートとの相関を調べました。


金価格とランド円為替レートの相関


2.GDP

経済指標の王様といわれる、GDPが挙げられます。
このGDPが高い国ほど、投資家にとって魅力的な国に見えます。
このGDPは、果たして為替相場と関連するのでしょうか?


GDPとランド円為替の相関


3.政策金利

政策金利によって、受け取るスワップポイントが決まります。
高金利で有名な南アフリカランドですが、政策金利によって為替レートは左右されるのでしょうか?


政策金利とランド円為替の相関


4.消費者物価指数

消費者物価指数は通貨と密接に係わり合いがあるといわれていますが、南アフリカの為替レートも消費者物価指数を深い関わりがあるのでしょうか?


消費者物価指数とランド円為替の相関


5.南アフリカの株価

南アフリカの株価と為替相場の関連性も知りたいところです。


南アフリカの株価とランド円為替の相関


6.日本の株価

ランド円は「南アフリカランド」と「日本円」に関する為替です。
日本の株価についても関連性を調べました。


日本の株価とランド円為替の相関


7.世界の景気(VIX指数)

100年に一度といわれる世界金融危機が原因で、南アフリカランドが2008年10月に当時の過去最安値をつけたことからも、深いかかわりがあると見て間違いなさそうです。
そこで、世界景気を表すVIX指数とランド円の関連性を調べました。


世界の景気とランド円為替の相関


これらランド円の動向要因を調べることで、南アフリカランド円の今後の見通しを予測することが出来るのか調べました。

検証の結果、ランド円の為替相場は、金価格やGDP、政策金利とは関連性が低く、
逆に世界の景気(VIX指数)とは関連性が高いことがわかりました。
そこで、VIX指数をチェックしつつ、ランドの見通しを予想してみます。


2019年9月時点 南アフリカランド円の見通し

まず、直近3か月のランド円の為替チャートとVIX指数の推移で、8月1日時点の為替状況を解説します。

南アフリカランド円2019年6月~8月 為替チャート

南アフリカランド円チャートのコメント

6月上旬、「アメリカはメキシコへの関税適用先送りを検討」「FRBによる米ドル利下げ観測」との報道により、先行きが楽観視され、ランド円も円安に。
7月下旬、格付け会社フィッチが南アの格付け「BB+」の見通しを「安定的」から「ネガティブ」に引き下げたため、ランド円が円高に。(見通しを下げた主な原因は、GDP成長率の低下と国営電力会社エスコムへの支援拡大などによる財政圧迫です)
8月に入っても、米中貿易摩擦の激化で世界経済の見通しが不透明になり、円高が進みました。
9月3日時点は、1ランド=6.9円台で推移しています。

VIX指数2019年6月~8月の推移

VIX指数チャートのコメント

5月13日、中国政府は、600億ドル分の米国製品について関税を5→25%に引き上げると発表。関税の応酬を巡る米中の衝突が激化し、VIX指数が20.55まで上昇しました。
一方で、ランド円も7.71円から7.61円まで下落しました。

8月2日、トランプ米大統領は中国に対する制裁関税「第4弾」を9月1日に発動すると表明。
週明けの8月5日、中国側も対抗措置を取る姿勢を示したため、米中貿易摩擦激化による世界経済の悪化懸念が強まり、VIX指数が24.59まで上昇しました。

9月3日時点で、VIX指数は18.98と20を少しだけ下回っています。
(通常、VIX指数は10~20の間で推移しています。最新のVIX指数はこちらです。)

また、最近ランド円の為替相場に影響を与えた主なニュースは以下の通りです。

南アフリカランド円関連の主なニュース

2019年のニュース
日付 内容 為替相場
9月3日 南アフリカ政府は4-6月GDP成長率が前期比で年率+3.1%と発表 変化なし
7月26日 格付け会社フィッチ・レーティングスは、南アフリカの格付け見通しを
「安定的」から「ネガティブ」に引き下げ
変化なし
7月18日 南アフリカ準備銀行が政策金利を6.75%→6.50%に引き下げ 変化なし
6月上旬 FRBによる米ドル利下げ観測 ランド高
3月29日 米中貿易摩擦が進展 ランド高
2月20日 2019-2020年の財政赤字の対GDP比予想を4.2%→4.5%に下方修正 ランド安
1月3日 東京市場が休みで薄商いということもあり、一気に7.16円まで下落 ランド安

2018年のニュース
日付 内容 為替相場
11月22日 南アフリカ準備銀行が政策金利を6.50%→6.75%に引き上げ ランド高
8月13日 トランプ米大統領が
「トルコから輸入する鉄鋼・アルミ関税を2倍にすることを認めた」
とツイートしたことを受けてトルコリラ売りが加速
→南アフリカランドも新興国通貨として売られました
ランド安
6月5日 南アフリカ政府は1-3月GDP成長率が前期比で年率-2.7%と発表
→予想の-0.5%を下回りました
ランド安
4月23日 アメリカ10年債利回りが2.995%まで上昇
→世界のお金が米ドルに流入しました
ランド安
4月18日 南アフリカ2018年3月の消費者物価指数(インフレ率)3.8%
→予想の4.1%を下回りました
ランド高
3月28日 南アフリカ準備銀行が政策金利を6.75%→6.50%に引き下げ ランド安
3月23日 米格付け会社ムーディーズは、南アフリカの格付け「Baa3」を
維持し、見通しを「ネガティブ→安定的」に引き上げ
ランド高
3月19日 格付け会社ムーディーズが南アフリカの格付けを下げる可能性が浮上 ランド安
3月6日 南アフリカの2017年10-12月GDP成長率が前年比+3.4%
→予想の+1.8%を上回りました
ランド高
2月26日 ラマポーザ新政権の内閣改造
→新政権への期待感が強まりました
ランド高
2月5日 米国のNYダウ平均が暴落し、各国の株に連鎖する世界同時株安が発生
→高金利のランドを売って、信頼性の高い円を買う動きになりました
ランド安
2月21日 南アフリカ2018年1月の消費者物価指数(インフレ率)4.1%
→予想の4.5%を下回りました
ランド高
2月21日 ギガバ財務相が、25年ぶりに付加価値税を引き上げする方針を発表
→財政赤字削減への期待感が強まりました
ランド高
2月15日 ズマ大統領が辞任を表明 ランド高
2月2日 南アフリカ国会が、ズマ大統領への不信任案を提出 ランド高

今後の南アフリカ経済

2017年12月19日の南アフリカ民族会議(ANC)で、ラマポーザ氏が党首に決まりました。
ラマポーザ氏は現在65歳で、卓越した交渉能力と戦略で故ネルソン・マンデラ氏とともにアパルトヘイト撤廃交渉を成功に導きました。

実業家としても成功しているラマポーザ氏に、南アフリカ経済成長の押し上げが期待されています。

その証拠に、2017年12月27日にはラマポーザ新党首への期待感から、2017年最高値の1ランド=9.24円を記録しました。

なお、ズマ大統領の任期は2019年の総選挙までで、当面はラマポーザ新党首との双頭体制ですが、国民に不人気のズマ氏は2018年2月15日、とうとう退陣に追い込まれました。

一方、2018年の南アフリカのGDP成長率は、新興国の中では低水準のままです。

2018年 南アフリカのGDP成長率
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
-2.7% -0.5% 2.6% 1.4%

新体制に代わり、徐々に改革が進められてきた2019年が勝負の年といえるでしょう。

2019年は、1-3月のGDP成長率が-3.2%とよくありませんでした。
原因は国営電力会社エスコムによる計画停電が、製造業の生産に打撃をもたらしたためです。
一方、この反動で4-6月のGDP成長率は+3.1%でした。
南アフリカ中央銀行は、2019年通期のGDP成長率を0.6%と予想しています。

2019年 南アフリカのGDP成長率
1-3月 4-6月 7-9月 10-12月
-3.2% +3.1%

次に、今後の南アフリカランドの見通しについて、世界の景気に影響を与える要因をメインに、考察しました。

南アフリカランドの今後の見通しに影響を与える要因

  1. 原油価格
  2. 中国経済
  3. アメリカの利上げ
  4. アメリカ大統領トランプ氏の動向

1.原油価格
原油価格は、世界経済やランド円に大きな影響を与えます。

では、原油価格の状況を時系列で解説します。

・2016年前半:原油価格は大幅な安値水準(1バレル=30ドル前後
原油安で、産油国の経済が悪化し、世界経済の見通しも悪化

・2016年後半:原油価格は若干の安値水準(1バレル=40ドル台
新興国の需要が増えたこと、2016年11月30日OPEC(石油輸出国機構の加盟国)がオーストリアで総会を開き、原油の減産に踏み切ったことから、原油価格が最安値水準を脱却
(OPECが原油の減産に踏み切るのは、リーマンショックで原油の需要が減少した2008年以来8年ぶりのことです。)

・2017年~2018年:原油価格は安値~適正水準(1バレル=50ドル~70ドル
「2017年5月25日、OPECが2018年3月までの減産延長で合意」
「2017年11月30日、OPECとロシアなど非加盟の産油国は、2018年3月までとなっている減産を2018年末まで延長することで合意」
などで、原油価格が上昇を続けましたが、2018年10月、原油の供給過剰が懸念され若干下がりました。

・2019年:原油価格は適正水準(1バレル=50~60ドル
「1月から6か月、OPECとロシアなど非加盟の産油国は、合計で日量120万バレル減産することで合意」
といったことを背景に、原油価格の適正水準が継続しています。

2.中国経済
中国経済も、世界経済に大きな影響を与えます。また、中国は南アフリカにとって最大の貿易相手国で、中国経済の回復はランド高の要因となります。

南アフリカ共和国の貿易相手国ベスト3(出典:JETRO)
第1位 第2位 第3位
南アフリカ共和国の輸出相手国 中国 アメリカ 日本
南アフリカ共和国の輸入相手国 中国 ドイツ サウジアラビア

中国経済の動向を知るのに最適な指標は、GDP成長率と製造業購買担当者景況感(PMI)です。

※製造業購買担当者景況感:PMIとも呼ばれ、製造業やサービス業の購買担当者を対象にアンケートや聞き取りなどを行い、新規受注や生産高、受注残、価格、雇用、購買数量などの指数に一定のウエイトを掛けて算出する指数。50を上回れば景気拡大、下回れば景気後退のサイン。景気実態を正確に映し出しやすい。

中国のGDP成長率
2019年4月~6月の国内総生産(GDP)成長率は+6.2%で、中国政府の2019年目標値である6.0~6.5%は維持していますが、前期(2019年1月~3月)から0.2%低下しました。

中国のGDP成長率推移
2019年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.4% +6.2%
2018年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.8% +6.7% +6.5% +6.4%
2017年 1~3月 4~6月 7~9月 10~12月
GDP成長率 +6.9% +6.9% +6.8% +6.8%

中国の製造業購買担当者景況感
2016年8月~2018年11月:27か月連続で50を上回る
2018年12月~2019年2月:50を下回る
米中貿易摩擦の影響が、中国経済にも目に見える形で出てきましたが、2019年3月・4月は
・中国政府の景気対策が効き始めた
・春節(旧正月)休暇による特殊要因
から、50を上回りました。
ただし、5月以降は4か月連続で50を下回っています。

2019年 中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
1月 2月 3月 4月 5月 6月
49.5 49.2 50.5 50.1 49.4 49.4
7月 8月 9月 10月 11月 12月
49.7 49.5

2018年 中国製造業購買担当者景況感(PMI)の推移
1月 2月 3月 4月 5月 6月
51.3 50.3 51.5 51.4 51.9 51.5
7月 8月 9月 10月 11月 12月
51.2 51.3 50.8 50.2 50.0 49.4

3.アメリカの利上げ
アメリカが利上げされると、資金がアメリカドルに流入しやすくなるため、高金利が売りの南アフリカランドにとっては、通貨安の要因です。

2019年7月のFOMCで、アメリカドルの利下げが発表されました。
これでアメリカの政策金利は2.50%→2.25%になりました。
※FOMC:Federal Open Market Committee(連邦公開市場委員会)の略で、アメリカの金融政策を決定する会合です。

普通は資金がアメリカドルから流出して、ランド円が円安になるところですが、今回の発表は市場ではすでに織り込み済みで、利下げ発表前後でのランド円の為替相場は、ほとんど変わりませんでした。

アメリカの利上げ時期は、アメリカ雇用統計と、政策金利を決定するFRBパウエル議長の発言で予想できます

アメリカ雇用統計
特に非農業部門雇用者数と失業率の数値が利上げ判断に考慮されます。

2019年の米雇用統計 非農業部門雇用者数(前月比変化)の推移(単位:万人)
1月 2月 3月 4月 5月 6月
30.4 2 19.6 26.3 7.5 22.4
7月 8月 9月 10月 11月 12月
16.4 15.9(予想)
2018年の米雇用統計 非農業部門雇用者数(前月比変化)の推移(単位:万人)
1月 2月 3月 4月 5月 6月
20.0 31.3 10.3 16.4 22.3 21.3
7月 8月 9月 10月 11月 12月
15.7 20.1 13.4 25 15.5 31.2

2019年の米雇用統計 失業率の推移(単位:%)
1月 2月 3月 4月 5月 6月
4.0 3.8 3.8 3.6 3.6 3.7
7月 8月 9月 10月 11月 12月
3.7 3.7(予想)
2018年の米雇用統計 失業率の推移(単位:%)
1月 2月 3月 4月 5月 6月
4.1 4.1 4.1 4.1 3.9 3.8
7月 8月 9月 10月 11月 12月
4.0 3.9 3.9 3.7 3.7 3.9

過去のアメリカ雇用統計を見る限り、アメリカ経済は堅調に推移していますので、経済面ではいつ利上げされてもおかしくありませんが、現在はトランプ大統領の圧力や景気後退の予防的措置で、利下げに傾きやすくなっています。

FRBパウエル議長の発言
3月20日のFOMC
「(米ドルの利上げを)我慢できる」
5月1日のFOMC
「金融政策を上下どちらかに動かす必然性はない」
6月4日の講演
「景気拡大を持続させるため適切な行動(予防的な利下げ)をとる」

これらの発言により、市場では2019年に利上げされる可能性は低いと判断しています。

その場合、南アフリカランドと米ドルの金利差は大きいままですので、ランド円は堅調に推移しそうです。

なお、アメリカの利上げは、景気の悪化を意味しないため、VIX指数とは関連しません。
VIX指数があまり変動していないにもかかわらず、ランド円が大きく下落した場合、アメリカの利上げ可能性が早まり、お金がドルに流入していることを疑った方がいいでしょう。

4.アメリカ大統領トランプ氏の動向
2016年11月にトランプ大統領が誕生しました。

GDP第1位のアメリカ大統領の動向は、世界経済に大きな影響を及ぼします。
そのため、世界経済の影響を受けるランド円の為替レートも、トランプ大統領の動向で変動することがあります。

トランプ大統領の動向とランド円への影響
時期 トランプ大統領の動向 ランド円の為替レート
2016年11月~
2017年3月
減税策やインフラ投資などトランプ
大統領への期待感(通称トランプ相場)
7.64円→8.85円の円安
2017年3月27日~
2017年3月31日
医療保険制度改革法(オバマケア)
代替案の採決見送りによる、
トランプ政策への不透明感
8.90円→8.30円の円高
2017年5月17日~
2017年5月18日
トランプ政権とロシアの不適切な関係
(ロシアゲート事件)の報道
8.64円→8.29円の円高
不定期 米中貿易摩擦の示唆 報道が出たら円高
2018年12月~ 米政府機関の一部閉鎖 円高

このようにトランプ大統領の動向は、ランド円の相場に大きな影響を与えていますが、最近はトランプ大統領のニュースで、円高に動くことが多くなっています。

南アフリカランド円の為替見通し 結論

上に挙げた4つの要因は、以下の状況です。
1.原油価格:大きな価格変動がなくランド円への影響は小さい
2.中国経済:減速しており、ランド円の円高要因
3.アメリカの利上げ:実質利上げが停止された状態で、ランド円の円安要因
4.アメリカ大統領トランプ氏の動向:米中貿易摩擦の激化は、ランド円の円高要因

これらのことから、今後1年間のランド円の予想レンジは、6.8円~7.8円とします。

次回更新予定日 : 2019年10月1日

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